トリインフルエンザについて(2)

A型のインフルエンザウイルスは亜型がたくさんあり、
ウイルス表面にある特殊な糖タンパク質で区別されています。

糖タンパク質はH(ヘマグルチニン:血球凝集素タンパク質)と
N(ノイラミニダーゼタンパク質)とに分けられ、
Hは16種類、Nは9種類あります。

分離されたウイルスはその型によって
H1N1とかH3N2とかと呼ばれます。
この表面の糖タンパク質が常に一定であれば、
一度感染してしまうと免疫細胞が記憶して
二度と感染することはないのですが、
インフルエンザウイルスの場合、毎年のように
この表面の糖タンパク質が変化するために
免疫細胞から逃れてしまうのです。

インフルエンザウイルスの流行にはトリとブタが大きな役割を果たします。
トリの中でも広範囲に移動する渡りガモが重要と考えられています。

今まではトリインフルエンザウイルスが変化してブタが感染し、
ブタから変化してヒトに感染するようになることが一般的でした。

ところが1997年に
香港でトリインフルエンザウイルスに18人が感染し、6人が死亡しました。
このときのトリインフルエンザウイルスはH5N1型で、
通常はヒトには感染しないタイプのものでした。

これは一端収まったのですが、2003年末から2004年にかけて、
東南アジアのいくつかの国で
ニワトリに大規模な集団感染が再び起こってしまいました。

この時もH5N1トリインフルエンザウイルスで、
34人に感染して24人が死亡するという非常に致死率が高かったため、
一挙に危機感が高まりました。
現在、このウイルスのヒトへの感染能力は高くありませんが、
もしヒトへの感染性を強く示すようになると大流行の危険性があるため、
各国で警戒が強まっています。