お笑いと医療

お正月だと浮かれていたらあっという間に2週間が過ぎてしまいました。
皆様のお正月はいかがだったでしょうか?

私は家で静かに寝正月。何となくテレビ鑑賞に浸りきってしまいました。

正月のテレビは例年のごとく特別番組だらけでしたが、特に初笑いとばかりに何とお笑い番組が多いこと。
正月早々暗いニュースよりは、せめて正月くらい明るく過ごしたいということかもしれません。

これはある医学雑誌にフランス文学者で東京大学教授の宮下志朗先生が書いておられた話ですが、16世紀ルネサンス期のフランス人のフランソワ・ラブレー(この人は「ガルガンチュアとパンタグリュエル」という
荒唐無稽な物語の長編文学を著した修道士からお医者さんに転じた人です)は、『笑いに治癒力がある』と考えていたようです。

宮下先生曰くラブレーの発言記録を見てみると、彼の著書もおそらく治療行為の延長という認識であったようです。

この笑いと治癒力でちょっと前に話題になったのが、アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズが著した「笑いと治癒力」という本です。

彼がかかってしまったのが、強直性脊椎炎という免疫異常で起こってくる難病で、強い痛みを伴う病気です。
この病気にかかってしまったノーマンは、喜劇フィルムを見て馬鹿笑いをするとしばらく痛みが軽くなるのを経験しました。
その後、それを繰り返すうちに病気そのものもよくなってしまったという話です。

実際臨床研究で、コントや喜劇等を見て大笑いするとNK(ナチュラルキラー)細胞というガンやウイルスを排除する免疫細胞が増えたり、活性が強くなったりすることが報告されています。

笑うことによって脳内のエンドルフィンが多量に分泌されるためとか、自律神経が安定化するためとかいわれていますが、まだ本当のところはわかっていません。

沈静化してきたとはいえまだまだ油断できない新型インフルエンザ・・・。
しかし、笑いでNK細胞が活性化するのは何も正月に限ったことではありません。

皆さま、お笑い番組をしっかり見て、たくさん笑うことができれば、きっとインフルエンザにかからず無事にやり過ごせるのではないでしょうか。