恐ろしや甘いもの

最近メタボヘルプの相談コーナーに甘い物好きさんからの相談が続いています。
実は甘いもの(お砂糖系)は麻薬に匹敵する依存性を誘導するという少し怖いお話をしましょう。

「依存性」という言葉は医学用語ですが、普通に使われる「依存」とほぼ同じ意味で、つい頼ってしまうという事です。
つまりタバコや麻薬を一端始めたら止められなくなることをいいますね。中毒という言葉もありますが、これは別の意味で使われることも多いので、今回は依存性、依存症でいきましょう。

あるものに対して依存性ができてしまったときの特徴としては、
1. 乱用:たくさん使ってしまうこと
2. 禁断:無くなると通常で無い状態となる(イライラする、気分が悪くなる等)
3. 渇望:使わないではいられなくなる
4. 増感、鋭敏化:敏感になる、ちょっとしたきっかけでそればかり考えてしまう

改めていわれてみると、甘い物好きの方、思い当たる節があるのでは?

甘いもの、たとえばチョコレートやケーキなどのコマーシャルや写真を見ると食べたくなる(増感、鋭敏化)、食べ始めると次々食べてしまう、止められなくなる(乱用)、また一端止めてもまた食べたくなる(渇望)。
しばらく食べないでいるとイライラする(禁断)。といった具合です。

甘いものを食べたとき脳の中で起こっていることは、ドーパミンなど脳が気持ちよいと感じたときにでる、ご褒美物質がでて、その行動を習慣づける部位が活性化されます。
このような一連の脳内の反応は、麻薬を使ったときと同じであることが実験的に確認されています。

甘いものの最小単位であるグルコースは脳の唯一のエネルギー源ですから、当然グルコースを欲しくなって当然なのですが、人工的な甘味は限度を超えて脳を刺激してしまいます。
通常はお腹がいっぱいになると満腹中枢が働いて、それ以上は食欲が抑えられて食べることを止めるのですが、人工的な過度の甘味はこの満腹中枢を麻痺させてしまいます。

さんざんフルコースの料理をこれ以上無理というほど食べても、デザートをみてしまうと満腹中枢がリセットされてしまうのです。
依存性ができていない人は、メニューを見せられたくらいでは、満腹中枢はリセットされず、お腹がいっぱいだからもういいや、となるのですが、依存性ができている人は甘味に対して感覚が鋭くなっていますから、メニューを見ただけでその味を想像し、満腹中枢がリセット・・・
もう止めることはできません。

グルコースを大量にとっても何も悪いことがおこらなければよいのですが、必要以上に摂るとまず肝臓にグリコーゲンとして貯まります。
それでも処理しきれないほど大量に余ってきますと、実は脂肪に変えられて脂肪組織に貯められるのです。
これを繰り返すと、もう立派な肥満です。

依存性のできてしまった人は、これから脱却しない限り夜中にお腹が空いて眠れなくなり、甘いものを探して、手当たり次第食べてしまうという事も起こります。
こうなってしまうと自分でダイエットしようと思っても、とても無理で、病気に近いため専門家の手助けが必要になります。

この依存性をリセットするためには、強い甘味になれた体や脳を再教育する必要があります。
食事の組み立てを変え、特に甘味の少ないものを食べるといったカウンセリングが必要となりますが、個人によって有効なやり方が異なります。

いろいろな手段で脳をリセットしていくわけですが、ご心配な方は一度ご相談ください。

アーテイジ虎ノ門クリニック
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