遺伝子検査で何がわかるの?

みなさんは、「遺伝子検査」というものをご存じでしょうか?
最近は雑誌やニュース特集でも扱われることがありますので、耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、では、「遺伝子検査」を受ければ、どんなことが分かるのかご存じですか?

今回は「遺伝子検査」についてお話していきたいと思います。

遺伝子検査というと、『将来なりうる病気がすべてわかってしまう』と思われている人が多いのではないかと思います。
確かにたったひとつの遺伝子異常が重大な病気を起こすという場合はあります。
ただしこれは非常に例外的なことです。

大抵は複数の遺伝子異常が重なって、さらに特定の生活習慣が重なって初めて病気が起こってきます。
特に「生活習慣病」といわれている病気は遺伝子の関与が30~50%程度といわれています。

生活習慣病では肥満にならないように、動脈硬化にならないように、食事に気をつけ、運動を積極的に行うようにしましょう、という指導が行われています。

ところが個人によって遺伝子が異なりますから、食事の取り方次第で肥満になり易い人もいれば、食事にはあまり気をつけなくても肥満になりにくい人もいます。
また運動も、一生懸命やっても全然痩せない人もいれば、ちょっと運動しただけで、すっと体重が減ってくる人もいます。
これらはかなりの部分、遺伝子が作り出す体のタンパク質、特に栄養代謝に係わる酵素の違いから来るのです。
従って遺伝子を見ればどんなやり方がもっとも効果的であるかがわかるということです。

脂肪代謝に関係する酵素の遺伝子をみれば食事を減らせばよいのか、運動をもっとやればよいのか、どちらが最も効果的なのかが分かってくるのです。
それがわからなければせっせと両方やらざるを得ないところ、遺伝子を見ることによってどちらかを手抜きすることができるかもしれません。

先日、私自身も遺伝子検査を受けてみました。
分析をしたところ、いわゆる「倹約遺伝子」がありませんでした。
「倹約遺伝子」というのはこの遺伝子をもっていると基礎代謝が低く、普通に食べていてもカロリーオーバーになってしまうという遺伝子です。
私の場合、倹約遺伝子がなく、基礎代謝は普通にあるので、ちょっと余分に食べても肥りにくいわけです。

また運動すると脂肪代謝が更新する遺伝子ももっていることがわかりました。
つまり食べ過ぎた後はしっかり運動すれば体重維持はできるということです。
ところが一方で動脈硬化や高血圧に係わる遺伝子が多くあって、脂肪やコレステロールに気をつけていないと動脈硬化が早く進むようなのです。

考えてみますと私の父と叔父は心筋梗塞で亡くなっており、また祖父、祖母もどちらも長生きでしたが脳卒中で亡くなっています。
どうも放置しておくとそっちの病気で死ぬ運命にあるようです。これは冗談ですが。

従って長生きするためには筋肉量を増やして基礎代謝を上げるよりも、有酸素運動で脂肪燃焼と、食事ではコレステロールの管理をしていくことが
重要になるという健康維持戦略ができあがるわけです。
現状の血液検査値を見ますと気をつけてはいるのですが、若干コレステロールが高めです。

体型的には身長170cmで体重63.5Kg、BMI22とほぼ標準です。
現状の検査データだけからすれば標準的なので、特に注意することはありませんよ、ということになりますが、遺伝子的には『コレステロールを少しでも下げましょう』、という指導が必要になるわけです。

生活習慣に係わる遺伝子には様々なものがあり、それらを総合的に見て初めて健康維持戦略ができあがります。2,3の遺伝子を検査してサプリメントを販売している会社もあるようですが、きちんと多くの関連する遺伝子を総合的に評価して、その結果を本人がしっかりカウンセリングしてもらって初めて、生活習慣の改善やサプリメントが有効活用出来るということを忘れないでください。

特定の遺伝子があるなしで一喜一憂するのではなく、それは単なる道しるべに過ぎない・・・
ということもしっかり認識しましょう。
その上で現状の状態と併せて健康のために何をやっていくべきかを考えることが大切です。

私のクリニック(アーテイジ虎ノ門クリニック)では、生活習慣病関連の遺伝子検査はカウンセリングや健康リスク評価も含めて実施しています。
時に、価格が高いと思われることもありますが、遺伝子検査は通常の血液検査と異なり、結果は一生変わることはありません。

つまり病気になる前に、早めに自分の健康上の弱点を知って、対策を立てておくことは極めて重要なことだと思って受診される方がいますが、メタボヘルプ.comユーザーはいかがでしょうか。
興味ある方はお問い合わせ下さい。