肥満遺伝子は東北人魂?!

メタボヘルプ.comや、アーテイジ虎ノ門クリニックのホームページに掲載しましたので、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、GQ(Gentlemen’s Quality)という男性誌の5月号にアーテイジクリニックの遺伝子外来を取り上げていただきました。
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わかりにくい遺伝子の話をきれいにまとめていただいて、記者の方には感謝です。
また写真まででてしまって何となく恥ずかしいような、うれしいような。
特にGQという雑誌はダンディな男のための雑誌というイメージでしたので、そんな雑誌の中に載せていただいたという事の方が、クリニックが紹介された以上にうれしい気がして、意外にミーハーな自分に気がついたわけです。

取材の中で肥満遺伝子、すなわち倹約遺伝子の話をしていて、ふと思いました。
ちょうど東北地方の大震災から1年という事で、あのときの場面をテレビで繰り返し放映していて、災害直後の人たちの姿はまさにこの遺伝子の賜という思いでみてしまいました。

いまでこそ東北地方でも安定的に農業が営まれていますが、かつては飢饉が頻繁に起こっていたことでしょう。
でも飢饉だからとその土地を捨てて、他の土地に移ってもその土地を耕し、作物が取れるまでには多くの年月が必要となります。
それよりは凶作の年を最低限の食物でじっと我慢すれば、そのうちによくなることがわかっていたので、じっとその土地にしがみついたのです。
そしてエネルギーを無駄遣いしないように基礎代謝を落として、少しの食物でも効率よく体を動かせる代謝を発達させたことでしょう。

震災直後のじっと堪え忍ぶ人たちの姿は、過去、何度も訪れたであろう飢饉のときの姿であり、まさにこの倹約遺伝子のルーツなのです。
おそらく同時に空腹感を押さえ込む遺伝子も発達させたことでしょう。

海外のニュースであんな大惨事の中、皆冷静に行動し、暴動も起こらなかったことが賞賛されましたが、これができるのも倹約遺伝子のおかげのような気がします。
もしこれが人類のふるさと、アフリカの国で起こったら、ああはならなかったでしょう。
多くの住民が国を捨て、他の地に移住したか、暴動で食物の奪い合いが起こったことでしょう。
勘違いしないでいただきたいのは、私は民族的優位性を主張しているわけでは決してありません。
環境が遺伝子を変化させ、また文化をも作り出したといいたいのです。

私はグローバル製薬企業で働いて、社内の人事異動なども見てきましたが、アメリカやヨーロッパの人たちは本当にダイナミックに平気で異動します。
イタリアのディレクターをやっていた人が南アメリカに異動したり、あるいは英国からオーストラリアに異動したりで、アメリカとヨーロッパ間で異動するなど新宿から池袋にオフィスが変わるくらいの気軽さです(ちょっとオーバーですが)。日本では東京から埼玉に異動するくらいでも大騒ぎです。

この大移動をものともしないのは、ルーツが狩猟民族だからです。
獲物がなくなれば獲物を求めて他の土地に移動することはいとわない人たちなのです。
したがって空腹になったらそれを我慢することなく要求を満たすために、あちこちと移動する。
だからもしアフリカの地で大災害が起こったら、大昔であったらその土地を捨てて大移動したのでしょうが、今は国境もあるのでそんなわけにもいかず、かといって空腹を我慢する術も知らなければもう
暴動しかないでしょう。

それもこれもすべて遺伝子のなせるワザのような気がしてきました。