薬を利用したダイエット方法について

最近、メタボヘルプ.comやアーテイジ虎ノ門クリニックへ『肥満ダイエットプログラムで薬を使っていますか』というお問い合わせが増えてきましたたので、肥満と薬の治療についてまとめてみます。

肥満は様々な原因で起こります。
単に食べ過ぎや運動不足だけではありません。
比較的多いものでは、甲状腺機能低下症があり、これは首の前側、喉仏のちょっとしたあたりにある臓器ですが、この臓器で作られる甲状腺ホルモンは体全体の代謝を調節しています。

ときどきこの甲状腺機能が落ちている人がいて、そうなると代謝全体が落ちてきて、元気がない、だるい、すぐに疲れるといった症状が出て、それに伴い体重も増加します。
このような食事や運動とは関係のない肥満には薬物療法が必要です。
もちろん薬物療法に合わせて食事療法も行うことがより効果的ではあります。

おそらく寄せられた質問の主旨はこのような内分泌臓器の病気もなくて肥満した場合に、薬を使って痩せるような方法をやっているかという事だと思います。
日本で承認されている肥満治療薬は唯一「サノレックス」という薬剤です。
サノレックスというのは製品名で、一般名をマジンドールといいます。

この薬剤は食事療法や運動療法をやってもBMI(Body Mass Index:体重÷身長(m)2)が35以上の肥満の人に使うことになっています。
個人輸入で勝手に使っている人もいるようですが、インターネットのブログなどを見ていますと、間違った使い方をしている人も多いように思います。

この薬剤はときどき重大な副作用をおこしますので、きちんと医師の指導の下で使っていただくことをお勧めします。
飲めば痩せるといった単純な薬ではありません。

この薬は脳にある食欲中枢を抑えて、食欲を減らすことが主な作用です。

副作用で多いのは、
◆口が渇く
◆便秘になる
◆眠れなくなる
◆めまい
◆ふらつき
◆気持ちが悪くなる

上記のように、軽いものがほとんどですが、長期に使っていると肺の血管に障害が出たり、うつなどの精神症状が出たりすることが希ではありますが、報告されています。

この薬剤は食欲を抑えることが主な作用ですので、この薬剤を使っているからとどんどん食べていてはまったく効果がありません。

それではどういう人が使うべきかというと、空腹感と精神状態が密接にリンクしている人です。
拙著Q脳ダイエットのQ脳度アンケートでQ脳支配の強い人にこの薬剤が効果的な人がいます。

食事と精神状態が密接にリンクしている人とは、下記のような行動を取る人です。
◆お腹が空くと眠れない
◆食べ物がなくなると不安になる
◆常に食べ物を近くに置いている
◆ストレスがあると思わず食べてしまう

どうしても肥満を治療する過程で食事をある程度コントロールしていくと、お腹が空いて眠れないなどの症状が強く出てくる場合には当院でも使用することはあります。

しかし、アーテイジ虎ノ門クリニックではリバウンドのないダイエットを目標としていますので、このような空腹感の来ない食事管理方法を指導していますのでこのような例はほとんどありません。

サノレックスはうまく使えば効果的ではありますが、食欲がなくなり、食べ物が美味しく感じられなくなるといった事をよく聞きます。
やはり食べ物を美味しく楽しみながらダイエットをやるのが一番よいと思いませんか??