Q脳ダイエット裏話

このたび「Q脳ダイエット:なぜあなたはダイエットに失敗してきたのか?」という本を出版しました。

Q脳ダイエットなんて聞いたことがない、と思われるでしょうが、それもそのはず、これは私が勝手に付けた名前です。
勝手にといっても荒唐無稽な話ではなく、最新の人類学、栄養学、行動科学などの知見に基づいた著書です。

常日頃肥満の治療を考えているとき、なぜダイエットは成功しないのか、一端体重が減っても簡単に元に戻ってしまうリバウンドはなぜ起こるのか、このメカニズムを疑問に思っていました。

肥満になると生活習慣病になりやすいことはみなさん理解しているはずなのに、なぜちゃんとしたダイエットが実行できないのか、先日ガン生還者の話をブログに書きましたが、ガンになった人の話を聞いても、そんな生活をしていたら常識的に考えてもガンになると思うのになぜか生活を修正出来ない。

でも一端ガンになった後は、「好きな食べ物を制限されるくらいなら死んだ方がましだ」と言っていたその本人が、急に禅僧のような生活を始める。これらはみなさん教養の高い人たちで理性的な判断ができるはずなのに、なぜだろうとたいへん不思議に思っていたのです。

いろいろと調べていくうちに、脳の進化の過程で、脳の中にひたすらエネルギー摂取を求めるプログラムがあると考えるとうまく説明ができることに気がつきました。
そこでエネルギー摂取をひたすら求める脳という意味で、Quest脳、すなわちQ脳としました(Questとは追求する、ひたすら追い求めるという意味です)。

またそうはいってもそこにブレーキをかける役割の脳だってあるだろう、理性的な判断をすることもたまにはあるのだから、ということでQ脳に対抗する自分自身、自己を認識する脳を想定して、これをSelf脳、
すなわちS脳としました(Selfとは自分自身、自己という意味です)。

人類創生期からの進化とそれに合わせた食の変化を考えるとき、エポックメイキングなできごとがいくつかあります。
それは森の木の上での生活から草原で二足歩行の生活をするようになったこと、またそのことによって木の実やフルーツといった主食が肉食に置き換わったことです。

実はこの肉食への転換の時期に脳が巨大化しています。
この進化の過程で作られていったQ脳とS脳が、人類創生期の厳しい時代を乗り越えて、そのまま現代に同じプログラムのままでいるなら一体どうなるのでしょう。

つまり高カロリーの食事を好きなだけ食べられて、しかも大した運動もしないでそれらの食事が手に入る環境で生活していれば必然的に肥満は避けられない状況になるわけです。
またそんな脳の機能からリバウンドの問題もうまく解決出来ることがわかりました。

最新の人類の進化と脳の発達理論、ダイエットにまつわる栄養学や行動科学など多くの論文、著作を参考にさせていただきました。
ちょっとわかりにくい理論を展開している部分もありますが、ダイエットの実践だけやりたい人はその部分だけ抜き出して読んでいただいても実践出来る形になっています。
リバウンドの謎を解くダイエットに関連した科学読み物として、あるいは健康的に痩せられるダイエットの実用書としてご利用頂ければ幸いです。

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