病気に対する一番大きな誤解とは・・・

先日、ある方とお話ししていて病気の話になり、質問をしてみました。

(内山) 「ところで、健康のために何かしていますか?」
(お相手) 「いえ、特に何もしていません」
(内山) 「それでは、病気になったらどうしようとか心配になりませんか?」
(お相手) 「別に、心配してもしょうがないし」
(内山) 「それでは健康診断とか受けていますか?」
(お相手) 「いえ、受けていません」
(内山) 「なぜ受けないのですか?」
(お相手) 「なぜって、病気が見つかったらいやじゃないですか」
(内山) 「なぜいやなんですか?」
(お相手) 「だって、あれをしてはダメ、これをしなくてはいけない、
      といろいろ生活が制限されるでしょう。それがいやなんです」
(内山) 「でも病気がひどくなっていたらもっと大変ですよ」
(お相手) 「そうしたら病院に行って薬でももらいます」
(内山) 「薬を飲めば治ると?病院に行けばお医者さんが何とかしてくれると?」
(お相手) 「ええ?そうじゃないんですか。
だって病院って病気を治してくれるところでしょう?」

さてこの会話を見て、思い当たる節はありませんか。
残念ながらまだ多くの方がこんな考え方をするようです。

ポイントをまとめますと
1. 自分が病気なるなどとは考えたくない
2. 病気を見つけられるのがいやだ
3. 多少の異常でも見つかったら自分の思うような生活ができなくなる
4. 病気になったとしても症状が出るからわかる
5. そしたら病院に行って薬を飲めば病気が治る

こんなところでしょうか。

確かに何も考えず、勝手気ままに生活していても病気にならない人も中にはいます。
しかしこんな人はごくまれです。たとえていうなら、往来の激しい道路を、目をつぶって赤信号を無視して渡るのと同じことです。
中には車にひかれずに渡れる人もいるでしょうが、ほとんどの人が車にぶつかるでしょう。
どんなに気をつけていてもほとんど必ずといっていいほど何らかの病気にはなります。
いや病気にならないまでも転んだり交通事故にあったりで怪我をするかもしれません。
確かにこれは気にすればきりがないのかもしれませんが、
常に病気になる危険性を考えて手を打っておくことが重要です。

健康診断で異常が見つかるのはいやなものです。でも早く見つかれば元に戻れるのです。
「動脈硬化」、「糖尿病」といった生活習慣病など特にそうです。
こういった生活習慣病は早めに生活習慣を改善すれば、薬とは縁が切れますが、一端進行してしまうと薬無しでは生きられなくなります。ガンもまたしかりです。
早く見つかれば内視鏡などで簡単に処理することができるようになりました。
ところが進行すると大きな手術が必要になりますし、転移を常に心配しなくてはいけなくなります。

一番大きな誤解はいざというとき、病院に行けば病気を治してもらえると思っていることです。
病気を治すのはあくまでも自分自身なのです。

病院はどこが異常なのかを見つけてくれて、どうすればよいかを教えてくれますが、病気を治してくれるわけではありません。
またいろいろな医薬品が世に出ていますが、薬を開発してきた身にとっては、薬を飲めば病気が治ると思われると困るのです。

慢性に進行する病気の場合(生活習慣病など)、ある程度病気が進行して、すなわち薬を飲まなければいけないくらい病気が進行している場合、薬を飲んでも治ることはありません。確かに薬が反応すれば、全体としての調和は取れ、ある程度の苦痛はとれます。でも病気を治してくれている訳ではありません。
それ以上悪くなるのをもしかしたら止めることはできているかもしれません。
現在の薬でやれることはせいぜいそんなところが精一杯です。

病気にならない秘訣は「病気になりたくない」と思うことなのです。
病気になりたくないと思えば、それに備えて何ができるかを考えるようになりますから。