最近メタボはどこへやら、インフルエンザの話ばかりで恐縮です。
タミフルという抗インフルエンザウイルス剤が効かない
インフルエンザウイルスが広がっていることがニュースになっています。
タミフルはインフルエンザウイルスの持つノイラミニダーゼという、
ウイルスが呼吸器粘膜細胞にとりついて侵入し、そこから放出するために
重要な役割を果たす酵素を阻害する内服薬です。
タミフル耐性を持ったウイルスの型はAソ連型(H1N1)です。
今シーズン使用されているインフルエンザワクチンはA香港型、
ソ連型とB型の混合ですので、ワクチンは有効です。
また流行の主流は香港型で、こちらの型にはタミフルは効きますので、
多くの人にはまだタミフルも有効です。
ただ自分のかかったインフルエンザが香港型なのかソ連型なのか、
症状は同じなのでウイルス自体を詳しく調べないとわかりません。
インフルエンザにかかってタミフルを飲んでも、
それがたまたまソ連型だと効かないということもあり得るわけです。
タミフルが効かなかったのでソ連型でしたね、
というのでは後の祭り、笑い話にもなりません。
抗インフルエンザウイルス剤はもう一つリレンザという薬剤があります。
こちらもノイラミニダーゼ阻害薬で作用の仕組みはいっしょなのですが、
なぜかこちらには耐性ウイルスはでておりません。
香港型にもタミフル耐性ソ連型ウイルスにも効果があります。
ただしリレンザは吸入剤です。
吸入器に丸いお薬の入ったディスクを装着して
ボタンを押すと粉末がでて、それを吸い込む形式です。
慣れれば簡単なのですが、
これが面倒という人もいて、タミフルに比べると
あまり処方されていませんでした。
ただし臨床試験での効果はタミフルと同じです。
もしリレンザを使用する場合は吸入器の使用法を
薬局で良く教わってから使用するのがよいでしょう。
おなじ作用のお薬なのに、タミフルには耐性ウイルスが出現して、
リレンザにはでていないという理由はよくわかっていません。
タミフル耐性ウイルスは昨シーズン頃より
ヨーロッパを中心に流行していて、
今シーズンになって日本にも広がったということです。
この耐性獲得はウイルスの突然変異が原因のようで、
使いすぎが原因ということではないようです。
また抗インフルエンザウイルス剤の治療タイミングは
感染後48時間以内と非常に微妙で、
これを過ぎてからの投与では有効性は確認されていません。
このタイミングをすぎてから他の薬剤に切り替えても
効果は期待できません。ですからインフルエンザにかかって、
タミフルを処方され飲んだが、48時間以内に熱が下がらなければ
タミフル耐性のソ連型ウイルスであった可能性もあるということで、
それに気がつく頃にはすでに治療機会を失っているということです。
それでしたら最初からリレンザを使った方がよいですよね。