待ちに待ったお花見の季節です。
桜散る中で野点のお茶をいただく、
風情があって良いですね(お酒の方がもっと良い、
という声が聞こえてきそうですが・・・)。
さて、野点は簡略化されたお茶ですが、正式なのは茶事といって、
茶室に招かれて濃茶を中心とした一連の宴席が催されます。
このときにまず始めに出されるのが懐石です。
料亭などで出される懐石料理は懐石風の料理という意味で、
会席料理とも書きます。
茶の湯料理は懐石です。
この「懐石」とは禅僧が修行中に空腹感に見舞われたとき、
温めた石を懐に入れて空腹感を紛らしていたということからきているようです。
私が不思議に思ったのは温めた石を懐に入れてお腹を温めることで、
なぜ空腹感が紛らわせることができるかということでした。
ひとつ考えられるのは食事誘導性熱代謝です。
食事をすると食物を消化するために消化管が働くわけですが、
このときエネルギーを使い、当然熱も発生します。
すなわち食後にお腹は温かくなるのです。
逆に空腹時にお腹を外から温めてやると、
あたかも食事をして消化管が動いて、
熱を発生しているように感じられるのではないかと思われます。
禅の修行の厳しさを説いたたとえ話も
科学的に根拠のある話かもしれません。