スウェーデンのNational Food Administration(国立食品庁)が、EUに対して興味深い提言をしています。
To eat for the environment and for your health(環境と健康のために食べること)と称して、肉食を減らして魚介類、野菜、果物の摂取を増やすことを提言しています。
肉食、特に牛と羊は育てる過程で環境にかなりのダメージをもたらすことを指摘しています。
スウェーデンでは現在1年間に国民一人あたり65Kgの肉を消費しています。
これはほんの10年前に比べて10Kgも増えているそうです。
1Kgの牛肉を得るために15~25Kgの温室効果ガス(CO2やメタンガス)が発生します。
肉類は鉄分とタンパク質のもとですが、
子供や妊娠中の女性を除いて現状では過剰な鉄分を摂取していることになり、もっと肉食を減らして、菜食に切り替えることで、
環境にもやさしい食べ方を考えましょう、という提言です。
この提言では牛、ブタ、羊、トリ肉について言及していますが、特に牛と羊のような反芻動物が環境に与える影響が大きいとしています。
ちなみにブタ、トリからの温室効果ガスは肉1Kgあたりブタで5Kg、トリで2Kg程度とのことです。
いずれにしても肉好きにとっては頭の痛いところです。
日本人の場合は多くのタンパク源を魚介類に頼ってきました。
ところが終戦後は肉食が一般化して、急速に肉食の比率が高まってきました。
それに比例して肥満も増加しています。
ある統計によると1990年に一人あたり年間約30Kgだったのが、1995年には40Kgを越えましたその後はほぼ同様の消費量で推移しています。
(もう少し長いスパンで見た別の統計では1962年に肉類の年間総消費量が91万トン、
これが2002年には560万トンと約6倍に伸びています)
ところが摂取総カロリー量は1980年代半ばをピークに低下の一途をたどっています。
にもかかわらず肥満は増加している(特に男性で)ということは、肉食が肥満と大いに関係していることになるわけです。
ようするに程度の差はあれ、日本でもスウェーデンと同じことがいえるということです。
肉食を全くゼロにする必要は無いと思いますが、せめて肉を食べるときには環境破壊に思いをはせる必要はあるのかもしれません。
この話を読んでいて、ふと医学部の学生時代に生物学の試験で「草食動物と肉食動物でどちらが生存に有利か?
エネルギー効率の観点から考察せよ」という問題がありました。
他の問題はすっかり忘れてしまいましたが、なぜかこの問題だけは頭にしっかり残っています。
この試験問題には解答したのですが、その解答が正解だったかどうか、生物学の教授にはついに聞けず仕舞でした。
ただちゃんとその年の単位は取れたので、たぶん当たらずといえども遠からずの解答だったのでしょう。
みなさん、いかがでしょうか。
(私の解答は後日掲載予定ですので、お楽しみに!)