久しぶりにスポーツジムでのサウナでの会話シリーズです。
今回の登場人物は60歳過ぎの重量挙げ大好きの二人組。
かなりの重量を上げているので、おそらく筋肉は相当ついていると思われますが、その上に更に厚い脂肪に覆われているため、相撲取り体型。
今回の話題は秋田の玉川温泉。
ここは岩盤浴でも有名な温泉で、ガンに効くということで有名な温泉です。
私の通っているスポーツジムのサウナは、木製のベンチと床ですが、このお二人の会話によると、玉川温泉ではサウナに小石が敷き詰めてあるらしく、そちらの方が快適だと話しています。
二人組の一人の知人がどうもお気の毒にどこかのガンのようで、抗ガン剤を飲んでいるらしいのです。
彼曰く、「抗ガン剤は5mgで7万円、こんな高い値段を払っても、副作用ばかりで効くかどうかわからん。
医者が半年の余命といって抗ガン剤を投与すると、
みたてどおり半年で死ぬのは、
ガンのせいではなく抗ガン剤のせいではないか」
「玉川温泉に行くとガンの末期の患者が多いが、
温泉に来ているということは延命出来ているということだ、
抗ガン剤よりはるかにいい」
「玉川温泉の岩からは微量の放射線がでていて
それで効果があるらしい」
という内容のお話しでした。
医療従事者の私にとっては耳の痛い話です。
しかし一般の人たちにとって医療情報というのは
このように伝わっていくのかというのを実感しました。
そこで、このお話についていくつかの誤解を解きたいと思います。
まず抗ガン剤は、確かに値段は高いですが、たぶん1錠あたりでは
高いものでも数千円、入っているクスリの成分量はよいとしても、
7万円はたぶん他の治療費も含めての値段ではないでしょうか
(注射剤では1回あたりの薬剤費が10万円を超える高価なものもあります)。
またガンという病気は抗ガン剤を使ったからといって、
きれいさっぱり治るものではありません。
残念ながらまだそのようなスーパーな抗ガン剤は開発されていません。
抗ガン剤が国から承認されるためには、臨床試験でガンが小さくなること、
また平均的な余命が既存のものより長くなること、これらを
証明出来れば承認されます。
これは平均値での話ですので、もっとよくなる人もいますし、
悪くなる人もいるということで、たまたま知り合いの方が悪くなったり
すると、抗ガン剤は効かないという話になってしまうのでしょうが、
なかなか難しいところです。
さて肝心の玉川温泉ですが、これは10年以上前にNHKで
紹介されてから、最後の救いを求めてガンの末期患者さんが
殺到するようになったようです。
今でも多くの患者さんが訪れているそうです。
しかし皆がこの温泉で回復するわけではなく、ごく希に回復した
患者さんがいると、玉川温泉には全国から来ているので、
たちどころにその話が広がって、ますます有名になったということが
真実のようです。
無理をして玉川温泉に来てはみたものの、症状が悪化して
そこで亡くなる人も多いということも聞きます。
私のよく行く理髪店のご主人もそうでした。
ガン関連の著書(「がんばらない」、「あきらめない」等)で
有名な鎌田實(かまたみのる)先生がガンサポート情報センターという
サイトの2004年の記事で詳しく紹介されておられるので、
そちらをご一読下さい
(http://www.gsic.jp/support/sp_03/kts/index.html)。
ガンという病気は本当にに色々な面で難しいですね。
それにしてもこれだけ抗ガン剤のことが誤解されているとなると、
もう少しこのブログで解説していかなければと思います。