皆さん、音楽はお好きでしょうか。いろいろなジャンルの音楽がありますね。クラシック、ジャズ、ロック、ポピュラー、演歌、民謡、ジャンルは違っていても一つの共通した特徴があります。音楽には曲調というものがあり、大きくは長調の曲と短調の曲があります。長調の曲は明るい、喜び、幸福感を表すイメージでとらえられますし、短調は暗い、落ち込み、怒りなどを表現します。
これは西洋の音楽を聞きなれているせいかと思いますと、そうでも無くて、以外に人類共通のイメージのようです。クラシックなど聞いたことがないアフリカの原住民に曲を聴かせたところ、クラシック音楽を聞き慣れた地域の人々と同じような反応を示したという報告もあります。
古来哲学者たちは人間にとって音楽の持つ役割は何かについて考察してきましたが、未だに結論には至っていません。ですからここで、音楽とはこうだ!というつもりはありませんが、少なくともいえることは、音楽は感情を伝える道具の一つであるということです。
昔から素晴らしい作曲家によって書かれた曲が、素晴らしい演奏家によって演奏されると、その作曲家がイメージした情景が浮かんでくるから不思議です。ピアニスト、バイオリニスト、指揮者、その曲に込められたメッセージをしっかり理解して、そこにある感情を忠実に音楽に表現できる人が名演奏家といわれる人たちなのでしょう。感情が伝わるからこそ、そこに共感と感動が生まれて多くの人から支持されるのです。
感情はもちろん言葉によっても伝えることができます。しかしこの言葉によって伝えることは人類が誕生してからずっと後のことです。おそらく言葉が発生するずっと前から、叫び声や何らかの音の出る道具を使って、感情を表していたのでしょう。
たとえばチンパンジーのディスプレイという言われる行動は、大きな叫び声と木の枝などを持って大きな音を立てて、自分の存在を誇示します。これはボスの座を争ったりするときに見られるものですが、りっぱな感情表現です。大きな音を出すことによって怒りの感情を伝えるわけです。人間でも他人を脅かすときに必要以上に大きな声を出したり、机をたたいたりして怒りの感情を表しますが、このチンパンジーの行為と全く一緒です。
子供を寝かせるときにはこんなことはしません。子守唄の優しい感情が子どもに伝わるからこそ、そこに安心感が生まれてすやすや眠ることができるのです。
なにはともあれ、好きな音楽を聴いていれば心が落ち着くといいますから、ストレス管理に音楽は重要な存在かもしれませんね。