女性セブンの取材を受けて

先日「女性セブン」という週刊誌の記者さんから取材がありました。
取材内容は、アラフォー世代の女性の肥満についてということでした。

40歳代というと男性ではそろそろメタボということで、胴回りにブクブクと肉がついてくる年代ですが、女性ではどちらかというとしっかり体型を保っている方が多いようです。しかしこの年代になりますと細胞の活性も落ちてきて、脂肪の蓄積も気になり始めるのではないかと思います。

拙著、Q脳ダイエットで書かせていただいた内容ですが、なぜ肥ってしまうのか、せっかく痩せたと思ってもなぜすぐリバウンドしてしまうのか、ということを記者の方にお話しさせていただきました。

その取材の中で、肥満遺伝子の話がありました。
私のブログでも書かせていただきましたが、肥満遺伝子は倹約遺伝子というのが実は正確で、エネルギー代謝を節約することで活躍している遺伝子です。日本人の祖先は農耕民族で、土地に縛られてきたわけです。狩猟民族でしたら食物が無くなれば、獲物のいる土地に移動すればよい話ですが、農耕民族はそうはいきません。冷害や干ばつで作物が取れなくなっても、他の土地に移動してまた畑を一から耕すよりは、じっとそこで我慢していた方が効率的でした。

じっとがまんしていれば翌年にはまた気候も変わって作物が取れるようになる、とじっと同じ土地にしがみついてきたわけです。
そのため飢餓に強い人間が生き残ってきたわけで、基礎代謝を低く抑えて、取れる範囲の栄養で生きながらえてきた人間の子孫が今の日本人です。

ところが現代のように飽食の時代にあってはその遺伝子が逆に作用して、脂肪を貯め込む方向にはたらいてしまっているのです。
その結果、肥満遺伝子というありがたくない名前を頂戴する羽目になってしまったというわけです。

確かに日本人は土地への執着が強烈です。
たとえば成田空港をみていただければよくわかると思います。
いまだに先祖代々の土地にしがみついて、滑走路の真ん中に個人の家があるという諸外国からすれば考えられない状態が生じているわけです。
ビジネスの世界でもまた同様で、グローバル企業ではアメリカからヨーロッパ、アジア、アフリカへの転勤など当たり前で、日本人に比べるとはるかにその移動はダイナミックですし、それほど生まれた土地への執着はないようです。

ですから日本発のグローバル企業が数少ないのも肥満遺伝子が絡んでいたのかと思わないではありません。
3月に起こった未曾有の大震災に際しても皆じっと我慢して堪え忍んでいる姿が諸外国から絶賛されましたが、これもまさに肥満遺伝子の延長線上にあるかのようです。

今回の取材を通して改めて考えましたのは、遺伝子変異が性格に及ぼす影響というのはどうなのかということです。
各臓器はそれぞれ固有の遺伝子が働いて、そこから作り出されたタンパク質によって臓器特有の代謝を行っているわけですが、脳もまたしかりです。体全体で60兆個もの細胞が働いていますが、
その細胞の持つ遺伝子はすべて同一です。ただ各臓器によって、タンパク質に翻訳されている遺伝子は異なりますが、その遺伝子変異は何らかの影響を及ぼしていてもおかしくはないような気がします。

つまり脳の細胞でも倹約遺伝子が何らかの働きをしているのであれば、それが人の性格に影響を及ぼしていても何らふしぎではありません。
このあたりの遺伝子変異と脳のはたきの関係については、まだ十分解明されているわけではありませんので、今後の研究が期待されます。

来週の女性セブンでは様々な方面の方に取材してまとめた記事が掲載される予定ですので、8月4日発売の「女性セブン」をぜひご覧ください。