肥満の人はなるべくして肥満に?-肥満者へのインタビュー-

あるテレビ番組の企画で数人の肥満の人たちにインタビューする機会がありました。
肥ってしまう人たちの性格的な特徴を捉えていてたいへん興味深く、皆さんにも知っていただきたかったので、ちょっとまとめてみたいと思います。
肥ってしまう行動の特徴については拙著「Q脳ダイエット」にまとめてありますが、今回集まっていただいたみなさんもQ脳アンケートをやっていただいたら全員満点に近いQ脳タイプになってしまいそうなお話の内容となりました。

質問1:自分が肥ってしまった原因についてどう考えていますか?

Aさん:ある程度の年齢になったのに若い頃と同じように食べているから。
Bさん:体重が増えたので、痩せようと食べずにがんばって痩せた。
    しかしリバウンドして更に肥った。
Cさん:夜空腹になると眠れないので、つい食べてしまう。
Dさん:ストレスがあるとついたべてしまう。
    ストレスで4Kg肥った。
Aさん:ストレスが溜まると食べることが止まらない。
Eさん:自分は代謝が悪いと思う。食べなければ痩せられる。
Bさん:遺伝だと思っている。親が肥っているので仕方がないと思う。
Cさん:親が次々に食事を出す。
    食べたいだけ食べることが習慣化している。

<解説>
世の中にはいろいろと情報が出ているので、ある程度肥満してしまうメカニズムについては理解しているようです。
しかし肥っている人の多くは、心理状態と空腹感が結びついている人が多く、そうなると心理的な
圧迫があると、食事のコントロールがきかなくなる傾向にあります。

また本人はあまり自覚していないのだと思いますが、自分の責任ではない、周囲が悪いといった自分以外に原因を転嫁する傾向も強いようです。
もう一つは食べ過ぎを自覚しているのはよいのですが、食べなければ痩せられると考え、ダイエットというと空腹感をひたすら我慢して食事を減らすことだと思い込んでいる場合もけっこうあります。

これをやりますと体を動かす筋肉などのタンパク質が減って、その分脂肪に置き換わっていきます。
体重が減っても体脂肪が減らない、手足は細くなって体重が減ったのにお腹周りは相変わらず太いまま、という体型になります。

質問2:肥っている人を見てどう思いますか?

Aさん:他の肥っている人を見ると、ああはなりたくないと思う。
Bさん:自分より肥っている人を見ると安心する
Eさん:肥っているとやさしそうに見える。

<解説>
肥っている人はとりあえず自分と比べるが自分のことはあまり自覚していないか、自覚しようとしない場合が多いようです。
また肥っていることを正当化しようとする傾向もあるようです。
まず自分のことにもっと関心を持って、自分の体を自分で管理するという発想が重要になります。

質問3:食べ方や食事の量で気がつくことはありますか?

Aさん:満腹でも甘いものを食べたい。
Bさん:デザートがないと食事が終わらない。
Cさん:出された食事を残すことはあり得ない。
   全部食べないと気が済まない。
Dさん:明日死んでもよいから食べたい、
   あるいは明日死ぬかも知れないから食べる。
Eさん:自分としては食べ過ぎてはいないと思っている
Bさん:そんなには食べていないと思っている
Eさん:少なくとも若い頃よりは食べていない

<解説>
肥っている人では食事の止め時がつかめない場合が多いようです。
出されたものはすべて食べないと気が済まないというのは、子供の頃から残さずに食べなさいという教育かも知れません。
また食べ物に対する執着心も強いといえるでしょう。
食事が終わったのにどうしてもアイスクリームが食べたくなる、これはひとつの食べ癖ですが、糖分は麻薬にも匹敵する習慣性を引き起こしますので、この習慣の修正が重要です。

もっとも麻薬と異なる点は、麻薬は判断力を失わせますが、糖分では習慣性は引き起こしても判断力までは失いません。
そこで当院では食べたくなったらまず理性を働かせる訓練を行っています。

またボリューム感覚も食い違っている場合がかなりあります。肥っている人では一般的に食事量を小さく見積もる傾向にあります。
アーテイジ虎ノ門クリニックの肥満ダイエットプログラムではこの辺の行動上の問題点の矯正にも力を入れています。

質問4:自分の肥った姿を見てどう思いますか?

Bさん:もうあきらめている
Eさん:鏡で全身を映さないようにしている。
   全身の写真を撮らないようにしている。
Cさん:ウィンドウショッピンでガラスに映った自分を見ないようにしている。

<解説>
肥っている人もそれでよいとは思っていない場合がほとんどです。
しかし逆に人に自分の肥った姿を見せたくないという思いが強いと、外に出なくなり、動かなくなり、それが原因でますます肥ってしまうという悪循環が繰り返されてしまうようです。

質問5:食事の内容については憶えている方ですか?

Aさん:食べたものを憶えていない
Cさん:自分で作ったものですら憶えていない

<解説>
人の記憶の曖昧さはQ脳ダイエットにも書かせていただきましたが、今回のインタビューでもほとんどの方が食事内容を憶えていないとの回答でした。
一端食べ始めると食事を楽しみながら食べると言うよりは、食べられればよいという気持ちが占拠してしまう特徴が現れていると思います。

ということで、以上が肥満の方に集まっていただき、インタビューした結果の一部です。
もし自分もそうだ!
と思い当たる節がありましたが、習慣がガチガチに固ってしまわないうちに是非ご相談ください。