メタボ・糖尿病をなくしたい|ドクター内山の健康・アンチエイジング・食育ブログ【2018年のご挨拶】
新年あけましておめでとうございます。
2018年が皆様に取りまして健やかな年になりますよう祈念致しております。
さて、健やかな年にしたいというのはまさに私自身の実感でもあります。実際2017年は、いくつか病気を経験しました。ずばり厄年ではありませんでしたが、60歳を過ぎて体調が大きく変化する年齢ということだったのでしょう。
しかしながら、普段から『病気にならない予防医学』をめざして情報提供している身にとっては挫折感を痛感した1年でしたし、気をつけていても病気にはなる、というのが教訓となりました。
そこで、経験したいくつかの病気を今後ご紹介していきたいと思っておりますが、
まずはめまいのおはなしです。
ある朝、目が覚めて上体を起こしたところ、部屋がぐるぐる回っています。
『回転性めまい』といいますが、外来の問診でよく周りがぐるぐる回るという訴えを聞いていましたが、自分ではじめて経験してどんなものか良く理解できました。
『ぐるぐる回転』はじっとしていたらすぐに止まり、立ち上がったらまたぐるぐる。最初は何が起こったのかよくわからず、不安になりましたが、回転性のめまいを起こす病気をいくつか思い浮かべ、鑑別診断を試みました。
症状は、体位を変えると回転性のめまいがある、動かないとすぐに止まる、耳鳴りはない、耳の聞こえも変化はない。
以上のことから、メニエール病ではなさそうです。
また、めまいがなければ片足で立つことはでき、目を閉じても立っていられるので平衡感覚は失われていないことから小脳出血、梗塞など中枢性のものでもなさそうなので、考えられるのは『良性体位性めまい』(または良性頭位性めまい)だろうという結論になりました。
医学知識があり鑑別診断ができても不安になるくらいだから、一般の人たちが患者になるというのはさぞかし不安なことだろうと実感しました。
その日は日曜日でジムに行く日だったので、とりあえずどうなるか分かりませんでしたが、ジムへ行ってみました。
いつもと同じように筋力トレーニングは支障なくできましたが、ヨガをやってみたらポーズを取るたびにぐるぐると回ってしまい、バランスポーズはとても取れる状態ではありませんでした。
この良性体位性めまいは『良性』と名前がついているように、放置してもそのうちよくなると教科書には記載がありましたので、そのまま様子を見ることにしました。
この病気は、上図に示した内耳の半規管の下、前庭という体の位置を感知する装置の上に乗っているカルシウムの固まり(平衡紗)の一部が欠けて、半規管のリンパ液の中に浮遊するのが原因です。このかけらがうまく外に出ればめまいは治るということで、頭の位置を色々変えたり、激しく振ってみたりしてみました。
幸い徐々にめまいの頻度は減って、程度も軽くなり、結局2週間くらいで無くなりました。
特に薬剤などは使いませんでしたが、ゆっくり動けばめまいは来ないことがわかり、体位を変える時は能の舞のように、ゆっくりと動くとめまいを感じることなく動けました。
以前読んだ本の中に『医者は病気になるべきだ』と書いてあったかと思いますが、2017年はいくつかの病気になってみて、患者さんの気持ちがより一層理解できるようになった1年であったように思います。
この経験を踏まえ、今後ともより良い医療を皆様に提供してまいります。どうぞよろしくお願い致します。