うつ病のテレビ特番

あるテレビ番組でうつ病を特集で取り上げていました。

要旨を記すと、医師がきちんと患者の評価をせずに、
抗うつ剤を安易に処方し、良くならないとどんどん種類と量が増えていく。
処方が増えるといろいろな薬剤による副作用が重なり、
元々の病気が良くなっているかどうかがわからなくなる。

まず、こうした悪循環が説明されました。

さらに、ある大学病院では、処方されていたクスリの種類と量を減らすことにより
患者さんの状態が改善した。
こんな内容で話は進み、
実際にクスリを減らして良くなった人を画面に映し出していました。

私のこのブログでは、クスリはできる限り飲まずに、
自身の持っている治癒力を高めよう、と主張してきました。
その意味ではこの番組は共感すべきものであったかもしれません。
しかし同時に、こんなことをテレビで放映すると、
患者が大混乱になるだろうなという危惧も持ちました。

気をつけなければいけないのは、うつ病は時として死に至る病です。

そう、自殺です。

東京ではほとんど毎日、人身事故による列車の遅れや
運行停止を目にしています。
列車の人身事故はほんとうに自殺なのかと計算してみました。
年間約3万人が自殺で亡くなっています。
これは17分30秒に一人自殺で亡くなっている計算になります。

東京には全人口のだいたい10分の1が住んでいますので、
平均すると東京だけでも3時間に一人、自殺者が出ていることになります。

この番組を見たうつ病の患者さんたちが、
勝手に自分でクスリを減らさないことを祈るばかりです。
一端増えたクスリを減らすには、専門の知識と判断力が必要です。

番組中の解説者がその旨強調するか、少なくともテロップなどで、
視聴者の患者に、番組を見て、
自身の判断でクスリの量を減らさないように訴えるべきだったと思います。

薬物療法中の患者さんたちは微妙なバランス状態にあります。
もし勝手にクスリを減らした患者さんたちが自殺に至ったら、
テレビ局はどのように責任を取るつもりでしょうか。

認知行動療法など薬物治療以外の重要性や、医師選びのポイントなど
とても大切なことを網羅していただけに、大変残念です。