インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その1)

インフルエンザはどうやって感染するの?

さてインフルエンザウイルスは呼吸器粘膜にとりついても、
粘膜細胞の表面にある粘液に邪魔されると細胞に到達できません。
空気が乾燥して、呼吸器粘膜上の粘液が少なくなると
ウイルスは動きやすくなります。

空気が乾燥する冬の時期にインフルエンザが流行するのはこのためです。

粘液中の糖鎖にあるシアル酸と、
ウイルスの外側にあるヘマグルチニン
(インフルエンザウイルス模式図のHA)の突起がまずくっつきます。
くっついたままですとウイルス同士も結合して
粘膜細胞に到達できませんので、
ここで同じくウイルス表面に並んだノイラミニダーゼ(模式図のNA)という
酵素が働いて、シアル酸と糖鎖を切り離してウイルスが
粘膜細胞に到達するのを助けます。粘膜細胞に到達するとウイルスは、
今度は細胞膜にあるシアル酸にくっついて細胞の中に入り込んでいきます。

インフルエンザウイルスは
(-)鎖RNAウイルス(ウイルスの中に自分自身を作り出す設計図として
RNAを持っている)ですから、
ウイルス自身が持っているRNA合成酵素を使って、
メッセンジャーRNA(アミノ酸を組み合わせてタンパク質を合成するRNA)を
まずつくり、それからウイルスタンパクを合成します。

(参考までに(+)鎖RNAウイルスというのは、
ウイルスの持っているRNAがメッセンジャーRNAそのもので、
細胞に入り込むと即タンパク質を合成できるウイルスです)。

スライド1

明日は伝染の仕方についてお話します。