現在の医療保険制度は、
病気を診断・治療して初めて医師に資金が提供される仕組みですので、
病気予防のための活動には医療保険以外から資金をいただくか、
無料奉仕かということになります。
今回のメタボ健診を別の側面、すなわち経済的側面から見てみると、
このような病気予防活動にどこが資金を提供すべきなのか、
という点に一石投じたとも言えます。
今回その経済的負担を受け持ったのは健康保健組合です。
各健康保健組合は組合員に
従来の健康診断に加えてメタボ健診を行ってください、
その中で基準以上の肥満者がいる場合は生活指導を行ってください、
というものです。
その保健指導を行うための資金は各健康保健組合が提供するのです。
また健康保健組合は、
今話題の後期高齢者医療保険へ拠出金という形で資金提供を行っていますが、
もし健診受診率の向上や肥満者の改善が見られない場合は
拠出金への支出割合を増やしてもらいます、
というペナルティつきです
(もちろん厚生労働省はこれがペナルティと呼ばれることには抵抗していますが)。
すなわち健康状態が改善して、
将来病気になる確率が減ることによって利益を得る
受益者は誰なのかを考えた場合、
医療費の支出が減るであろう各種健康保健組合という結論になり、
であればメタボ健診という病気予防活動には
受益者である健康保健組合が自ら係わるか、
資金を提供してください、ということになったわけです。
さてこの構図は本当に正しいのでしょうか?
メタボ健診にかかって生活習慣を改善し、
病気予防ができたとすると一番利益を得るのは
その対象者ではないのでしょうか。
肝心の指導を受けなければならない対象者が置き去りにされています。
健保組合から言われたからしょうがない、つきあうか…
とか、言われたけど別にやらなくても自分にはペナルティもないし…
といったことですと自ずと結果も見えてきます。
もっと対象者の自覚を促すプログラムが必要となります。
自らの健康を自ら考える、
自分の健康は重要だから自分で守るという自覚を持ってこそ
メタボ健診が生きてくると思います。