中国の上海は今めざましい経済発展の最中で、そこに働く人たちの味覚もどんどん変化しているそうです。
最近の中国の若者にとっていわゆる中華料理は“ダサイ”料理で、あまり食べられなくなってきているとか。
上海でもご多分に漏れず、従来の中華料理ではない、ヌーベルクィジーヌ、すなわち創作料理のたぐいの店が非常に増えているということでした。
ところがこんな中で一番人気を誇っているのがなんと伝統的中国家庭料理を長年にわたって提供しいるレストランなのだそうです。
見た目も味もそんなきらびやかなものではありませんが、食べるとほっとする味、そこが人気なのだとか。
冒頭の話と矛盾する話ですが、これは何を意味しているのでしょう?
おそらく食べてみてあっ、と驚く味とほっ、とする味の違いなのではないでしょうか。
刺激を求めて、あるいは食に感動を求めてヌーベルクィジーヌレストランに通う。
でもいつしか感動も薄らいでくると、やはり行き着くところは食の癒し。
昔ながらの懐かしい味。
そんな構図が透けて見えます。
三つ子の魂百までとよくいいますが、子供の頃に食べた味は大人になってもしっかり記憶の中に残っています。
見た目は同じような料理でも、家庭によって味付けが違う。定番料理もそれぞれの家庭で創意工夫があります。
そんな違いがあるからこそ、居酒屋の煮物に自分の家庭の味を見つけて感動できる。
それが「おふくろの味」ということなのでしょうか。