世阿弥の著した花伝書の中に「時分の花」というのがあります。
これは花伝書の年来稽古条々の二十四五の段にある言葉ですが、「時分の花を、真の花と知る心が、真実の花に、なほ遠ざかる心なり」。]
つまり若いというだけでもてはやされるのは一時の花であり、これを本当の花と思ってしまうと真実の花からは遠く離れてしまう、ということです。
また四十四五の段には「このころまで失せざらん花こそ、真の花にてはあるべけれ」ともあります。
年をとってくれば若いころの花はうせてしまいますが、44、5歳になってなお失せない花は真の花である、といっています。
つまり真の花をもつとは、どんな年齢になっても花を見せることができるということなのです。
これはもちろん能における稽古の心構えについて述べたものですが、健康のことに置き換えても同じことがいえると思います。
20歳代のころは手入れをしなくたって肌はつやつや、多少無茶しても、体はちゃんとついてき、ちょっと休めばすぐに回復しました。
しかし30歳代後半、はやりの言葉で言えばアラフォー世代、そのころになると仕事で徹夜などしようものなら、回復に3日もかかって、無理が利かなくなったなあ、なんてため息をつくのが普通でしょう。
確かに自分のことを振り返っても、研修医のころなど救急外来とか手術で徹夜になっても、翌日平気で外来をやれていました。
しかし30歳代後半を過ぎるころから、これがだんだんしんどくなり、結局当直のない仕事ということで、製薬企業の研究開発の道を選択したのです。
それ以降、医薬品の開発を通して病気の人々をみてきました。
直接患者さんに触れるわけではありませんでしたが、臨床試験や副作用報告を通して病気の人々を感じてきました。
そこで考えたことは新しい医薬品の開発ももちろん重要ですが、それより、まだ病気でない人たちを病気にならないようにすることの方がもっと大事なのではということです。
若いころの健康は「時分の花」とわきまえなくてはいけません。
それはいつまでも続かないのです。そして「真の花」、つまりいくつになっても病気にならない体、これをどうやって作り上げていくのか、それがアラフォー世代の健康管理の課題です。
そして、その方法論の確立をめざしているのがアーテイジです。
病気は病気になってから治療すればよいのではありません。
常に病気の芽(リスク)を探りながら、早め早めに手を打って、「真の花」を皆様に持っていただきたいと願っています。