買い占め行動を控えるために

未曽有の震災を前にして、今われわれにできること・・・。
皆さんと一緒に考えていければ と思います。

そこで、今回は物資が届かない被災地のためにもぜひ買い占め衝動を抑えていただきたく、「買い占めに走る心理状態」の解説を試みたいと思います。
少しでも買占め行動を抑え、皆様の冷静な判断ができるお助けとなれば幸いです。

大変な災害になってしまった今回の東北北関東大地震ですが、ほとんど実害はなかった東京でも多くのコンビニやスーパーから食料品や日用品が棚からなくなるという事態になっています。
確かに物流自体、ガソリン不足で多少滞ってはいるようですが、それでも通常の消費量であれば十分まかなえる量が供給されていると報道されています。
それでも陳列棚からものがなくなるのは、普段の2倍、3倍の買い物をする客が多いからです。

実はかくいう私も車を運転しながら、まだガソリンタンクには半分以上残っているのに、ガソリンスタンドの前の長蛇の車の列をみた途端、その列に並びたい衝動に駆られました。
まさに買い占めの心理反応を実感したというわけです。

どうしてヒトは、買占めという行動を起こすのでしょうか?
いくつかの考えられる理由をご紹介いたします。

◆買占めする理由(1):ストレス反応

まず今回のような大災害の映像を繰り返し見せられ、また自分自身経験したことのない地震を何度も体感していれば、当然強い不安がおこります。
そういった不安によりストレス反応が起こってきます。
人は精神的な安定を常に求める習性がありますので、不安を感じるとその不安を何かの行動で消し去って安定を求めようとします。

◆買占めする理由(2):精神的安定性を求める

また人や類人猿は「ミラーニューロン」が発達しています。
「ミラーニューロン」というのは脳の特殊な部位にあり、人の行動をみて、その行動に含まれている心理的背景を読み取ること、同じ行動をまねするような感情をおこさせる働きがあります。
簡単な例では向かい合わせにいた見ず知らずの人が、挨拶するように手を挙げるとつられて手を挙げてしまうことです。
実は自分の後ろにいた人に挨拶したことがわかってばつの悪い思いをした経験がある方も多いかと思いますが、そんなときに働くのがこのミラーニューロンです(ほんとうはもっと複雑ですが、簡単なたとえ話です)。

すなわち不安という精神的不安定さから逃げたいという願望と、いつもより多めに買い物をしている人たちの姿をみて、その行動から相手の感情を予測し、同じような行動を取ることにより、精神的安定性を求めるようになってしまう、それが急激に広がってしまったのが、買い占め騒動における行動心理と考えられます。

今われわれにできることを1つづつ取り組んでいきましょう。

◆対策:心理反応が起こす衝動を少し我慢しましょう

情報がない中では致し方ないかとは思いますが、テレビでもインターネットでも、情報は十分得られるわけですから、受け取った情報を冷静に捉え、後から振り返れば「なぜこんなに買い込んでしまったのか」、と不思議に思うこともあるかと思いますので、この現象は不安という心理反応が起こす衝動だということを認識していただき、ほんの少しその衝動を我慢すれば、冷静な判断ができるようになると思います。

物資が届かない被災地のためにもぜひ買い占め衝動を抑えていきましょう。