健康管理のあり方

本日、医師で栄養学の大家でもいらっしゃる板倉弘重先生とお話しする機会がありましたので、そのときの話をちょっと書きたいと思います。板倉先生はときどきテレビにも出演され、栄養やサプリメントなどをわかりやすく解説されるので、ご記憶の方も多いのではないかと思います。
また政府関係の会議などにもメンバーとして多く参加されている方です。

今回話題になったのは、「医師の役割というのは何でしょう」ということでした。
現在、アーテイジクリニックでは、「健康リスク管理」というプログラムを提案しています。
これは予防医学の1つでもあり、『遺伝子検査や生活習慣調査を組み合わせ将来的な健康リスクを予測し、できる限り病気にならないよう日常の食事や習慣を見直していきましょう』というプログラムです。
このプログラムのお話しを板倉先生にしたところ、それは大変意義深いことだとご賛同いただきました。

板倉先生はもともと予防医学に注力されている先生で、予防医学の重要さがなかなか広まっていかないことにフラストレーションを感じておられるそうです。
板倉先生曰く、本来の医師の役割というのは、地域の住民の健康を日常管理して、その地域から病気の人を出さないようにするのが役割ではないのか、というわけです。
私もその点大いに賛成で、そのことこそ、このメタボヘルプやブログなどで情報発信してきた大きな理由なのです。

また医学教育の話にもなり、医学部での教育が単に患者の病気を治す(病気の患者を治すのではない)ための技術者を育てるためだけの内容になっている、と憂慮されておられました。
すなわち医師は病気の人には関心を示すが、そうでない人には関心が無い。
医療も技術が中心で、傷んだ部分をどのように治すのかが医療だと皆思い込んでいる。
本当にそれでよいのかというわけです。

今回の震災のことにも話題が広がりましたが、被災者が、薬がなくてパニックになっているという話も、例えばコレステロールを下げる薬があのような食事環境の中でほんとうに必要なのか、患者である被災者自身も普段飲んでいる薬の内容をよく知らず、薬がなくなったことだけが問題になっている。
如何に日常の医療が薬を出すだけに終わっているかがこのようなときによくわかるというわけです。

私も震災直後のブログに書きましたが、糖尿病のお薬など、食事をしないで飲むと低血糖という恐ろしい事態を招くので、それよりはむしろ飲まずに、医師の診察を受けてから再開するのが望ましいのです。
被災地の現場も知らずに勝手なことをいうなという批判もあるかも知れませんが、こんなときだからこそ、普段の食事をもっとしっかり考えなければいけないでしょうし、さらに普段の健康のあり方を考えなおすよい機会なのではないでしょうか。