11月14日は世界糖尿病デーでした。
これは糖尿病の全世界的驚異を認知するということで、国際糖尿病連合(IDF)と世界保健機関(WHO)が定めた日です。
そのシンボルカラーは国連や空を表すブルーですが、個人的にはちょっと違和感があります。
この理由は後で述べたいと思いますが、その前に糖尿病にまつわる数字を少し見てみましょう。
現在世界で推定される糖尿病の患者総数は2億4000万人、そのうち実に380万人以上が糖尿病関連の病気で亡くなっています。
この数はエイズによる死亡者数と同じくらいです。
かつては贅沢病と言われた糖尿病ですが、実は現在発展途上国で急速に増加しています。
この原因として考えられるのが、ファストフードなどによる安易な脂肪と糖分の過剰摂取による肥満です。
さて日本ではどうかというと、2006年の糖尿病実態調査で糖尿病が強く疑われる人が820万人と推定され、さらに可能性を否定できない人が1050万人、合わせると1870万人と実に人口の10%を超える数の糖尿病患者が存在することになります。
一般的に「糖尿病は死なない病気」という認識の人が多いようですが、実は様々な病気を引き起こし、これが原因で亡くなる人がかなり多いのです。
糖分は体になくてはならない栄養素で、体の中の糖分が少なくなると途端に脳が機能低下して、ひどくなると脳が活動できなくなり死んでしまいます。
それならその逆の、血液中の糖分が多くなる糖尿病は脳にとって快適な環境なのでは?と考えてしまいますが、どっこいそうはならないのです。
糖尿病というのは、血液中の糖分が増えてしまう病気です。
これ自体は命に関わるものではないのですが、実は糖分はタンパク質と一緒にいると固く結びついて、タンパク質の代謝を邪魔するようになります。
たとえば生クリームのケーキなど放っておくと自然に黄色に色づいてきますが、これは糖とタンパク質が結びついて変質してしまった証拠です。これをメイラード反応と言います。
このメイラード反応がまず手足の末端や体内の臓器の末端の毛細血管というところで起こってきます。
そうなると毛細血管が固くなったり詰まったりして、細胞に十分な酸素や栄養を送れなくなるのです。
これが糖尿病の一番怖いところです。
つまり糖尿病になると、毛細血管がダメになり、手足や臓器が酸素不足、栄養不足から腐ってしまうことになるからです。
たとえば眼の毛細血管がやられれば、糖尿病性網膜症として視力が落ちてきますし、腎臓の毛細血管がやられれば糖尿病性腎症といって、血液透析をしないと生きていけなくなるという状態になります。
メタボヘルプ.comのデトックスのおはなしにも書きましたが、血液透析を受けるようになった原因として現在最も多いのは糖尿病です。
もちろん太い血管もそのうち同じようなことが起こってきますので、動脈硬化が進行し心臓の血管が詰まれば心筋梗塞、脳の血管が詰まれば脳梗塞、手足の血管が詰まれば末端壊死となり、切断しなければいけなくなる事態にもなります。
このように見てくると糖尿病はじわじわと人を死に追い込んでいく恐ろしい病気であることがわかります。
手足の毛細血管がやられて、末端まで血液が十分回らなくなると足や手の指先が冷たくなったり、青白くなったり(そのうちに赤黒くなります)、しびれが出たりします。
糖尿病デーのシンボルカラーが青いのは、この手足の循環が悪くなった状態を想像させるので、個人的には好きになれません。もっと暖かみのあるオレンジ色などが良いのでは思っているのですが。
血管はまわりの温度や様々な環境で広がったり縮んだりしています。
これを支配しているのが交感神経・副交感神経ですが、もう一つ、「一酸化窒素(NO)」という物質があります。
一酸化窒素が血管の細胞で作られると、その刺激で血管が広がるのです。
これにはアルギニンというアミノ酸が使われます。
アーテイジ株式会社のホームページをご覧いただくと、「ヘルシフィート」というクリームが掲載されています。
このクリームは、アルギニンを皮膚から吸収させてやることにより、アルギニン⇒一酸化窒素⇒血管拡張という仕組みを利用して、血管を広げて循環を良くするクリームです。
米国で糖尿病の患者さん向けに開発されたもので、手足が冷える、しびれる,傷が治りにくいという症状を改善するクリームです。
もちろん毛細血管が広がるので、手足が冷える冷え症の方に使っていただいても改善が期待できますので、是非お試しください(ちょっと脱線して宣伝になってしまいました)。
このように糖尿病は怖い病気のひとつですので、しっかり治療する必要がありますが、糖尿病があるのにまだ治療していないという人もかなり多いようです。
治療には様々な薬がありますが、まず食生活や生活習慣を改善して、肥満をなくすることが基本です。
あまり進行しないうちでしたら、生活習慣の改善だけで元に戻ることも可能です。
健診などで「まだ大したことはありませんが、ちょっと糖尿病の気がありますね」、といわれたら、安心せずにしっかりと生活習慣を見直すという治療を始めましょう。これも立派な治療です。
アーテイジ虎ノ門クリニックでは糖尿病の生活習慣改善指導も行っていますので、興味のある方はご連絡ください。