あるテレビ番組で、見ず知らずの人たちを一つの部屋に集めて男女でどう反応が違うのか、という実験がありました。
女性だけ3,4人集まると、待ち時間の間にすぐ話を始めます。あれこれと四方山話からよく話題が見つかるなと思うくらい延々と話が続きます。
ところが男性だけで集まっている場合、相当時間が流れてもほとんど話をする事はありません。携帯電話などあろうものならそちらの方を熱心に見入ってメール送信はしても、隣の人と会話をすることはほとんどなく、じっとだまって待ち時間を過ごします。しかもなるべく隣から離れた位置に座って。
先日美容クリニックの院長である友人と話をしていて、最近は男性も脱毛などで美容クリニックに通う人が増えたということが話題になりました。始終鏡で自分をチェックしている男性が増えているなどがニュースになっていますので、それは頷ける話ですが、おもしろいと思ったのは、男性はあまりクリニックの浮気をしないのだそうです。一端来院し始めると熱心に通ってくれるとのこと。
いっぽう女性の場合は、あちこちのクリニックに行く人がかなり多く、あまり忠誠心がないとのことでした。気に入って熱心に通ってくれている人でも、話の中であちこち行っていることがわかるとのことでした。
女性が美容クリニックに行くのは当たり前の時代ですが、まだ男性が美容クリニックに通うのは、それなりの勇気と覚悟が必要で、ひとつクリニックを見つけたらあまりあちこち行かないということも考えられますが、どうもそれだけではなさそうで、こんなところにも男女の本能的行動のちがいが見えてきます。
ひとつ考えられるのは、男性の持つ縄張り意識の強さです。チンパンジーの集団を考えてみますと、大体雄のボスザルがいて、大人のメス数頭と、オス、メス含めた子ザルで一つの集団を作っています。大きな集団では若い大人の雄ザルがいることもありますが、ボスザルはこういった若い雄ザルと常に緊張感を持って生活しています。若い雄ザルもチャンスがあればボスの座を乗っ取ろうと狙っています。
このような本能がありますので、見ず知らずの男性同士が会ってすぐに仲良く話を始めるなどということはあり得ないのです。ところが女性同士では集団の中で行動することが本能的に備わっていますので、見ず知らずの人でも平気でコミュニケーションが取れるのです。
男性の場合クリニックでなくレストランなどでも同じような傾向があるようです。男性は一度よいお店を見つけるとそこばかり通う習性があります。女性からすると食事に誘われるのは良いけれど、また同じお店、と辟易することも多いとか。男性は気に入った場所があるとそこが縄張りとして認識されて、固定化されるのだと考えられます。
チンパンジーの祖先と別れて600万年が経ちますが、いまだに行動の原点は同じというのはおもしろい話です。