クリニックでの生活習慣病外来で、よくある質問があります。
「健康管理には食事と運動が大切ということで、食事はいろいろ細かいお話しを聞くのですが、運動については何をどこまでやればいいのかよくわかりません」というものです。
確かにダイエットには食事と運動の両面からの対策が必要です。
それはエネルギーの余剰分を脂肪の形でため込んでいざというときにそれを使って生き延びようというのが、生物としての人の生き残り戦略ですから、食事をコントロールしてその脂肪を減らそうとすると、カラダとしてはある程度脂肪が減ったところでそれ以上減らさないような代謝に切り替わります。そこからさらに食事のコントロールを続けていきますと、エネルギー源として脂肪以外のものを使うようになってきます。その代表候補が筋肉です。この段階で筋肉があまり使われていないと、筋肉のタンパク質がエネルギー源として使われる量が増えてきます。
運動そのものでのエネルギー消費量はつらい割には大きくないので、運動だけでやせるためには相当ハードと感じるようなトレーニングが必要になってきますが、通常のダイエットであればまずは食事管理をしっかりやって、運動としてはともかく筋肉を使っていますといった程度の運動量で大丈夫です。
食事はキロカロリーという単位が使われますが、運動ではメッツとエクササイズという単位が使われます。今回はこの2つの単位を覚えてください。
メッツは運動の強さ(運動強度)で、運動の種類毎にだいたい決まっています。
静に寝ているときの運動強度を1メッツとして、たとえば普通の歩行ですと3メッツくらいですし、ジョギングが7メッツくらいです。これに時間をかけたものがエクササイズになります。
たとえば30分歩いたとすると3メッツ×0.5時間=1.5エクササイズとなります。
これに1.05と体重をかけると消費エネルギー量(キロカロリー)が計算できます。
すなわち体重50kgの人が30分歩くと78キロカロリーとなり、体重70kgの人ですと110キロカロリーとなり、体重の多い人は運動の効果も大きいということになります。
何事も積み重ねが大切で、軽い運動でも積み重ねていくうちに習慣化していきます。
運動については、この習慣化が非常に大切で、何かあればすぐに立って、動くという習慣が作れた人とそうでない人では同じ食事管理をしていても結果には大きな差が生まれます。
食事を減らしているのに体重が減らない方はともかく動く、歩くことを追加してみては如何でしょうか。