この時期、クリニックの外来では風邪の患者さんが多くなっています。
喉が痛い
咳が出る
鼻水がでる
痰が絡む
このような症状で、38度以上の発熱がある方もいれば微熱程度の方もいるといった具合です。
2017年末から2018年明けにかけてインフルエンザが猛威を振るい、特にB型が多かったのが昨シーズンの特徴でした。インフルエンザは、現在では終息して抗体チェックをしてもほとんど陽性に出る患者さんはなくなりました。
一般に言う「風邪」という病名はなく、感冒、咽頭炎、上気道炎、気管支炎などが該当する病名となります。あるいは風邪症候群と言われることもあります。冒頭の症状を示すいわゆる風邪には100種類を超えるウイルスが係わっているとも言われますが、正確な調査はありません。
風邪の原因ウイルスに感染すると、まずはのどの免疫組織でウイルスとの戦いが始まるために、のどで炎症を起こして痛みが出ます。そこで防ぎきれないと広がって声がかれたり、咳や痰が出たりとなります。
ウイルスによる風邪は通常3~5日もすれば自然に回復しますので、ほとんど薬剤は必要ないのですが、みなさん市販の風邪薬を購入するか、医療機関でお薬をもらうか、といったことが一般的になっているようです。
風邪の症状は多くが感染したウイルスを排除するための体の防御反応なので、それを薬剤で抑えてしまうと返ってウイルスを喜ばせることにもなり、症状は軽くはなったけれど、いつまでもすっきりしないという状態を作り出してしまいます。
確かに喉が痛かったり、咳が出て眠れなかったり、高熱が出ればつらいし、何とかして欲しいと思うのも人情ですから、そこはバランスが大切ということです。特にビジネスパーソンは仕事に熱心なためか、症状を抑えて何とか会社に行こうとしますので、強力な薬をくれ、と言った要望を時々耳にしますが、前述の通り、症状はほどほどに抑える程度がよろしいかと思います。しかも無理に出勤すると感染したウイルスをばらまくことになることもお忘れ無く!
風邪を引いたと言うことは、それなりにストレスや疲れがたまって免疫力が落ちていることを示しているので、しっかり休養を取ってくれと体が要求しているのだと理解しましょう。ほとんどの風邪は原因がウイルス感染ですから、インフルエンザを除いてはもとより特効薬がありません。
ゆっくり静養しているのが一番の特効薬ですので、なかなか難しいかとは思いますが、できるかぎり休養を確保できる工夫をしてください。