『癒し』の手に入れ方

癒しが欲しいとき、皆さんはどんなことをしていますか?

先週の朝のニュースで女優の宮崎あおいさんが趣味で陶芸をやっていて、それが癒しになっているというお話しがありました。

なぜ陶芸が彼女にとって癒しになっているのかというと本人曰く、『何も考えずに作品づくりに打ち込めるから』だそうです。
でも何も考えずに作品を作れるわけでもなく、きっと『ああすればこうなる、こうすればああなる』といろいろと考えているのでしょうが、集中しているので本人にとっては何も考えていないように感ずるのでしょうね。

何も考えなくていいということが癒しにつながる人は、たくさんおられるのではないでしょうか?

普段仕事であれこれ考える、それは仕事として考えるので、多くは左脳が優位に働いています。
ところが脳というのは別のことを考えると、いつも使っているところと異なる部分が活性化するものだから、普段使っている左脳は休んでいることになり、それが脳の疲れを取っているように感じるのだと思います。

体の疲れは筋肉疲労が主体ですので、1、2日休めば回復します。
ところが脳の疲れは15分寝ただけで取れることもあれば、休みの日に昼過ぎまで寝ていても取れないこともあります。

そんな「脳の疲れが取れた」、というのが実は「癒し」というものなのです。
脳は全く自分勝手な臓器です。

そもそもブドウ糖しかエネルギー源にできませんし、血液脳関門という特殊な仕掛けで、脳にとって必要なものしか脳の細胞に入り込まないようになっています。
そんなわがままな脳の疲れを取るのは、もちろん何も考えないことが一番ですが、それはそれで難しいことです。

禅とかヨガに「瞑想」というのがありますが、これは「何も考えない」という作業です。
これができるようになれば、いつでも脳を休めることができますが、なかなか修行を積まないと、この「頭を無にする」という行為は大変難しいようです。

それよりもっと簡単な癒しは、普段使っていない部分の脳を使うことです。
別の言い方をすれば普段やらないことをやることです。これが癒しになります。
よく温泉だとかリゾートだとかに行って、それが癒しになったといいますが、普段と違うことをやる、別の場所を体験することによって、脳の普段使っている部分と異なる部分が活性化され、それが癒しとして感じられるのです。

冒頭の宮崎あおいさんも女優という職業柄、セリフを覚えたり、演技をしたりということに必要な、おそらく左脳を主に働かせているのだと思いますが、作陶では立体造形ですから右脳を中心に脳を使うことによってそれが脳を休めることになっているのでしょう。
癒しが欲しいとき、普段と別の体験をすることにチャレンジしてみてください。

それは何でもよいのです。
普段会社で文字、数字を扱うことが多ければ、右脳を使う絵とか陶芸とか、あるいはそういった作品を見ることでもよいと思います。

逆に普段右脳を使っている人は数学の本を読むとか、計算問題をとくとか、左脳を思いっきり働かせてやるのがよいと思います。
是非お試しください。
それでは、ドクター内山こと私は、一体何を癒しにしているのか、といいますとそれは「茶道」です。

あんな堅苦しくてややこしい作法が何で癒しになるのかというご意見もあろうかと思いますが、普段と異なるシチュエーションで、違う脳を使っているので癒しになるのです。
ちなみに癒しとは関係ありませんが、世界文化社からでている裏千家茶道の教科書シリーズのいくつかにモデルとして登場していますので、茶道をやっておられる方は是非ご覧下さい。

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世界文化社お茶のおけいこ28
「裏千家茶道 炉の点前」より

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世界文化社お茶のおけいこ40
「裏千家茶道 茶席の会話」より