小林麻央さんのブログを読みました

小林麻央さんのブログを読みました。

最初は人間ドックの検査で乳腺に腫瘤があるということで精密検査を勧められ、精密検査での診断では授乳中の小さなしこりなので心配ないという判断だったことが書かれていました。

その後知り合いのドクターなどからも心配ないと言われて、8月に再検査の予定が10月になったことを悔やんでいる気持ちが書かれています。私も知り合いから相談されると、つい楽観的な話をしてしまいますが、これを読んで考えてしまいました。
少しでも安心させてあげたいし、かといって確率としてはゼロではないので厳しめの話を常にすべきなのか・・・悩んでしまいます。

ところで読者の中には、最初の段階できちんと生検して診断をつけなかった最初の専門医をとんでもないと思う方もいらっしゃるかと思いますが、画像検査で良性と判断されたしこりを普通は生検しません。また乳がんは一般的に進行がそれほど早くはないがんですので、半年後に様子を見ましょうというのはごく普通の判断だと思います。

麻央さんのように半年で大きく進行してしまうことは非常に特殊な例です。

最初のごく小さなしこりの段階では、早く進行するがんなのか、ゆっくりのがんなのかの判別は付きにくく、一般の方は『どうしたらいいの?』と思われる方も多いでしょう。
また昨年話題になった北斗さんの例のようにエコーとマンモグラフィと両方受けていたのに発見できなかったということで、どんな検診を受けたらいいのというのも悩ましいところです。

一般的にがん検診は年に1回というのが標準ですが、がんの中には一端できると非常に大きくなるスピードの速いがんがあり、前年の検診では異常なかったのに、見つかった時にはすでに転移していたということもないわけではありません。この1年というタイムスパンは、一般的ながんを対象として、検診にかかる費用と発見する確率から考えて導き出されたもので、速いスピードで育つがんはこれでは早期発見というのは難しいことになります。

通常の検診以外で、現段階で参考になるとするとがん遺伝子検査があります。
若くしてがんになる方では、がん抑制遺伝子などに変異を持っている場合が多くあります。
家族性に乳がん、卵巣がんを起こすBRCA1、2という遺伝子の変異は、2013年にアンジェリーナジョリーさんというハリウッド女優がこの変異があるために予防的に乳腺と卵巣を取ってしまったことで広く知られるようになりましたが、これ以外にもいくつかのがん遺伝子変異があります。遺伝子変異がなかったらがんにならないというわけではないですが、少なくとも変異のある、がんリスクの高い人では検診回数を増やすとか、腫瘤が見つかったら早めに生検などの精密検査をやってがんかどうかを確認するといった手段をとることができます。

いずれにしてもこれをやっておけば安心という検査はまだ存在しないのですが、定期的な健康診断や診察結果を十分に確認すること、さらに、タバコや過度の肥満といった、がんのリスク因子を減らす生活習慣を送ることがまずは先決でしょう。

都内にお住まいの方で、検診の受診や個別にご相談されたい方がいらっしゃいましたら、クリニックへお越しください。